2004年5月13日木曜日

超小型飛行機のプロペラ回転方向に旋回時の巻き込み挙動

プロペラの反動トルクによる問題です。正回転プロペラの時は右旋回の時に、逆回転プロペラの時は左旋回の時に、旋回中心に落ちていくような挙動を起こします。

挙動を減らす対策
主翼に捻り下げを付ける。

挙動を減らすトリム調整
直線飛行するようにトリムを調整するのに、ラダーコントロールなら垂直尾翼で、エルロンコントロールなら主翼翼端で、トリム調整を行う。

発生理論
挙動を起こす方向に旋回している時、プロペラ反動トルクはバンク角を小さくする方向に働いています。ですから、旋回操舵は大きめにしないと旋回しません。この状態で、外乱により降下又は、旋回中心にすべると、速度が増加します。すると、プロペラに余分に風があたるので、トルクが小さくなります。トルクが小さくなると、バンク角を小さくする働きが小さくなり、バンク角が増す挙動を起こします。バンク角が増すと速度が増加し、この現象はドンドン大きくなっていくのです。
この現象は大きな飛行機でも、プロペラの反動トルクはあるので、同じ現象が起こりそうです。しかし、スパンが大きくロールダンパーが大きいので動きがゆっくりで、挙動が起こっていることに気づきません。
対策
二重反転プロペラにでもしないかぎり、根本的に原因をなくすことはできません。
小さいプロペラにすれば、現象は小さくなりますが、推力が出なくなるのでその選択も難しいと思います。
巻き込み現象を冗長させる翼端失速を起こさないように、主翼に捻り下げを付けることぐらいです。
トリム調整
プロペラトルクの影響で、そのままでは直線飛行できない為、トリム調整が必要になります。この調整には超小型機特有のものがあります。
多くの超小型飛行機はプロペラを含めたモーターユニットの重量の比率が大きく、重心位置の近くに設置されています。プロペラの方向を変えてトリム調整すると、大きく方向を変えないとトリム調整ができません。すると横方向の推力の影響が出て、この巻き込み挙動を冗長することになります。
ですから、ラダーコントロールなら垂直尾翼で、エルロンコントロールなら主翼翼端で、トリム調整を行ようにすれば、この挙動を冗長することなくトリム調整できます。
プロペラの軽量化
プロペラを軽くしても、直接的に反動トルクには影響がありません。しかし、プロペラのバランスが悪くて、モーターユニットにギヤーを使っている場合は、状況が変わってきます。プロペラが軽くなるとギヤー効率が向上し、結果的に反動トルクが小さくなります。

3 件のコメント:

  1. YSFC画像付き掲示板にアップされた梶山さんのコメントに答えていただいたのかと思います。感謝!
    ご本人からも「対策があったら何でも教えて!」とリクエストを受けていました。
    以前にもこのテーマは問題になったことがありましたが、超小型機の登場でまた違った意味合いを持って問題になっているようです。
    次回の飛行会で初飛行を予定しているスパン19cmの超小型機は、私にとってもこれまでにない最小の飛行機です。
    とりあえずアレンジなしで図面通りに製作しましたが、どんな飛行をするのか、見当がつきません。

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  2. スパン19cmは恐ろしいですね。
    私の反射神経がそのロールレスポンスについていけるか自信がありませんが、テスト飛行は私がやった方が良いと思います。
     飛行機の操縦性は、飛行機の特性だけでなく、操縦者の能力(反射神経)が大きくからんでいるようです。
     今、六畳間飛行について色々考察しているのですが、飛行機のレスポンスが操縦者の反射神経の範囲内にあれば、問題無く操縦できるのに、オーバーした瞬間、まったく操縦できない状態になります。アナログ的ではなくデジタル的です。これが、操縦者の反射神経、飛行エリアサイズ、速度、飛行機マニューバリングレスポンスが絡み合って、そのエリアで飛ばせるか否かが決まります。
    まとまったらBlogにアップします。

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  3. 梶山さんからメールをいただきました。
    転送します。
    ------- 情報ありがとうございます。
    早速拝見しましたが、鈴木さんの知識にはいつも敬服させられます。
    これらは既に実施済みの内容でして、満足な改善はしませんでした。
    栗田さんの新作機に使われたM20+ロビンのペラが良いと言ったのはこの為です。
    ペラの反動トルクがこのサイズの機体ではかなり効くようですから。
    でも根本的な解決策にはなっていません。低空では右旋回をする際はラダーの舵角を少しにしないと巻き込みが発生して高度が急激に低下しますので気をつけて下さい。
    さらに何か良い情報がありましたら下さい。
    梶山の機体は主翼、尾翼の位置が近く、車で言うところのショートノーズ、ショートホイールベースですから舵が敏感のようです。この関係およびノーズ長などが更に関係しているのかもしれませんね。
    楽しみな解決課題です。
    梶山

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