2013年2月28日木曜日

UNA3_TB30 羽ばたき解析 その2

先日の飛行会で撮影した動画からコマ取りして、羽ばたきについて調べてみました。


エレベーターをフラットにするため重心位置を後ろに下げた「前縁46mm(MAC:28%)から前縁70mm(MAC:47%)に」飛行と、翼開長延長のため風切り羽を装着した飛行を行っています。
UNA3_TB30 スペックデータ
 翼開長:800mm
 翼面積:10.4dm2
 体重:34.0g
 翼面荷重:3.3g/dm2
 重心位置:前縁70mm(MAC:47%)
翼開長延長UNA3_TB30 スペックデータ
 翼開長:1000mm
 翼面積:12.1dm2
 体重:36.0g
 翼面荷重:3.0g/dm2
 重心位置:前縁70mm(MAC:47%)
UNA3_TB30(エレベーターフラット)水平飛行
羽ばたき周波数:3.0Hz
羽ばたき下げ時間比率:50%
モーターの回転数:24300r.p.m

前回の飛行では3.3Hz。
重心が下がって尾翼のマイナス揚力がなくなった分、羽ばたき周波数は小さくなっているようです。
羽ばたき下げ(フレームNo04)と、上げ(フレームNo07)を比較してみます。
主要強度部材(カーボン変え穂先)は翼の前縁にあるので、羽ばたき下げ時には捻り下げ、上げ時には捻り上げの力がかかる。その為、翼端部分はかなり捻り下げ、捻り上げ状態になっている。これが、推力を生み出していると思われる。
鳥もこれと同じ動きをしている。その他に、羽ばたき上げ時の折りたたみ、羽ばたき時のT方向移動(下げ時に前進角、上げ時後退角)などの羽ばたきをしている。これらが羽ばたき効率を上げているし、何より鳥らしく羽ばたくことになっていくと考えています。




UNA3_TB30主翼ルート後縁フリー
羽ばたき周波数:3.2Hz
羽ばたき下げ時間比率:50%
モーターの回転数:25500r.p.m

エントリー最初の画像は、この羽ばたきの3フレーム目で羽ばたき下げて前進角が一番大きくなっているところです。羽ばたき上げ時は、主翼後縁ルート部分と胴体が干渉して後退させることができていません。しかも、羽ばたき下げ時に前進角になっているのは好ましいのですが、後縁が跳ね上がって揚力を失っているのはマイナスに思えます。
UNA3_TB30翼開長1000mm
羽ばたき周波数:2.7Hz
羽ばたき下げ時間比率:64%
モーターの回転数:22000r.p.m

翼開長が25%長くなっている分、羽ばたき周波数は小さくなっているようです。
羽ばたき上げ時間が小さくなっているので、羽ばたき効率も良くなっていると思われます。
風切り羽の素材は0.5mmスチレンペーパーを使っている。その剛性が主翼素材(60倍EPP3mm)より小さいのが効いていると考えています。
飛行パワー
水平飛行時のパワーがリアルタイムで測定すれば可能です。しかし、テレメトリーとかEmeter2のRDUがないので測定できません。
しかし、フルパワーでのモーターベンチテストはできるので、そこから上昇飛行時の飛行パワーは計算できることになります。(正確性は疑問ですが、水平飛行時のスロットル位置を覚えておいて、そのスロットル位置でベンチテストすれば水平飛行パワーも推測できます)
フルスロットル時の羽ばたき周波数もコマ取りしました。この後、ベンチテスト結果から上昇飛行時の飛行パワーを計算していきます。結果がでたら別エントリーにアップするつもりです。
UNA3_TB30 フルスロットル飛行
羽ばたき周波数:3.8Hz
羽ばたき下げ時間比率:50%
モーターの回転数:30400r.p.m









UNA3_TB30翼開長1000mm フルスロットル飛行
羽ばたき周波数:3.3Hz
羽ばたき下げ時間比率:67%
モーターの回転数:27000r.p.m

2013年2月25日月曜日

第137回F西多摩体育館飛行会

参加者:須田、山崎、横田、鈴木
前回できなかったUNA3_TB30のテスト飛行。
色々テストできました。











グライドテスト
後方限界重心位置で計算結果より後ろに後方限界がありそう(狭い部屋のなかでのグライドテスト)。
そこで、体育館でグライドテストしてみました。
重心位置は主翼前縁から90mm(MAC:62%)にセット。エレベーターをダウンにして釣り合いがとれています。

頭を下げてランチすると、急激に降下してエレベーターアップが間に合いません。
やや頭上げぎみにランチして、何とか滑空します。
後方限界位置に近い重心位置と思われます。XFLA5での計算結果「前縁から58mm(MAC38%)」より、実際の後方限界は30mm(MAC24%)も後ろである事が分かりました。
エレベーターフラット
以前の飛行は重心位置「前縁から46mm(MAC:28%)」で、エレベーターはアップにして釣り合っていました。
エレベーターフラットで釣り合う重心位置「前縁から70mm(MAC:47%)」にして飛行して見ました。

尾翼のマイナス揚力がなくなった分、ゆったり飛行できているようです。
安定も十分、操縦の範囲内にあります。
映像には映っていませんが、飛行の最後に滑空させようと、スラストOFFにしています。
すると、羽ばたき下げの位置で止まりました。次の瞬間、機体はロールし背面飛行に、そのまま墜落。止まる場所が悪かったら、再度スラストをONにして位置を調整しようと考えていましたが、全く無理でした。
主翼ルート後縁フリー
主翼ルート後縁を止めていた部品を外して、後縁がフリーになるようにしています。
この事で、T方向に自由度がでるので、羽ばたきが鳥に近くなるのではないかと考えています。


後縁の自由度はT方向だけでなく、上下もフリーになっているので、飛行中は後縁が跳ね上がり気味になります。ですから、エレベーターは少しアップ気味で釣り合っています。
上下のフリーは安定を落とす傾向にあるようです。私の操縦で少し、暴れる場面がありました。
主翼前縁は1mmカーボンロッドで支えているのですが、T方向の自由度としては足りないようです。見た目の飛びには大きな違いが出てきませんでした。
翼端延長
翼開長延長のための風切り羽を装着してみました。
翼開長:800mm → 1000mm

やや安定が小さくなっていますが、操縦できる範囲です。
羽ばたきも幾分ゆっくりになっている気がします。
今回の動画をコマ取りして、羽ばたき周波数など、羽ばたきの詳細解析予定。別エントリーにアップするつもりです。

2013年2月21日木曜日

DriveCalculatorを使ってみた

以前、Emeterのプロペラ定数を追加する為に、インストールしたDriveCalculator。
しかし、全く使ってなかった。
先日、栗田さんがマニュアルの自動翻訳版を作成したこともあり、改めて見てみた。


DriveCalculatorは、モーターとアンプを合わせて、motorとしてデーターベースに登録している。
そして、バッテリー、ギヤーダウンユニット、プロペラもデーターベースで扱う。これらを組み合わせて、1つのパワーシステムとして性能を計算している。
データーベースは、オープンになっていて、ユーザが更新している。ですから、データの信頼性には注意が必要ですが、DriveCalculatorには独自ロジックの信頼性インジケーター(Reliability Ranking)が表示されるので、それを考慮に入れて性能検討ができる。
小型モーターを探す
まず、データーベース上になじみの小型モーターはないか探してみた。


motorの上限重量を8gとして[Weight limit]チェックボックスをオンにすると、検索してくれる。
2件ヒットした。
その内の「HXM1400-2000」は小型羽ばたき機の候補にもなっているモーターなので、これに注目して見ていくことにした。
Motorを見る












次に、[Edit][Motor...]をクリックしてモーターデーターを開く。
ベンチテストデーターが2つしかない。しかも、負荷テストでのプロペラが登録されていない。実際には、トルクなどを計測して、その回転数での出力パワーを見る必要がある。
そこで、そのテストしたプロペラがわかれば、そのパワー係数から出力パワーがわかるのだが、プロペラが登録されてない場合は、DriveCalculatorが独自に仮定計算していると思われる。
しかし、その結果の信頼度は低いようです。「Motor calculation reliability」がかなり小さくなっている。

ESCを見る
[Edit][ESC...]をクリックしてESCデーターを開く。
このモーター(HXM1400-2000)と一緒に登録されているアンプ「Kontronik Jazz 55-6-18」はかなり大型のもので、このモーターにはオーバースペックです。しかも、1セルには対応していません。
このモーターのように、1セルと2セルどちらにも対応しているものは、それぞれに対応するアンプを添えて、別Motorとして登録する必要があるようです。

ESCを替えて見る
アンプを私の持っている「Castle Thunderbird 9」と交換してみる


モーターはアンプとペアで登録されているので、警告メッセージが表示される。
[Change anyway]ボタンを押して、先に進みます。
すると、「Motor calculation reliability」がさらに小さくなりました。
バッテリーを選ぶ
[Power supply]が「Constant voltage」になっているので、UNA3-TB30で使っているバッテリーを選んでみました。
このバッテリーは120mAhと容量が小さいけれども、25Cとハイスペックなので、このモーターでも、警告が出ないプロペラチョイスがあるようです。
















プロペラを検索してみる
[Propeller]のフィルターを[Fixed]のみ(折ペラを除外)にして[Match motor]チェックボックスをオンにする。検索が始まり、7件ヒットした。























モーター検索
試しに、現在選択されているプロペラ(3x2 GWS HD)にマッチするプロペラを検索する為、[Match Prop]ボタンを押してみた。


計算エラーとなってしまった。
信頼性の低いモーターではダメなのか、このプロペラがダメなのか解らないが、計算できないようです。
















プロペラを選択する
[Propeller]ラジオボタンをクリックするとプロペラグラフが表示される。
さらに、私がベンチテストしているプロペラ「3x3 GWS HD」を選択する。


私のベンチテスト結果 :12030r.p.m 1.34A
DriveCalculator:11690r.p.m 1.1A
アンプもバッテリーも違うので、このぐらいは違うのでしょうか?
「Motor calculation reliability」の低さを考慮すると、こんなもんかも知れません。
信頼度が高くなるように、モーターデーターを再登録して見た方が良いようです。










1セル選択
[Power supply]を1cellにして、私がベンチテストしているプロペラ「5x3 GWS HD」を選択する
アンプは1セル用がないので、そのままにしてあります。


私のベンチテスト結果:7200r.p.m 2.11A
DriveCalculator:5385r.p.m 0.7A
DriveCalculatorのデーターベースは2セルでのベンチテスト結果から計算されています。
そのことも大きく影響しているのか、結果がずいぶん違います。
1セル用のアンプと、1セルベンチテスト結果で[Motor]を登録しないとダメのようです。

2013年2月15日金曜日

後方限界重心位置

ガル羽ばたき 解析で後方限界重心位置について、現在の計算方法では正確性に欠けることが解った。そこで、XFLR5を使ってUNA3_TB30を解析してみました。


今使っている計算は、主翼と水平尾翼のMAC(空力平均翼弦)、揚力傾斜、主翼の吹き下ろしの影響を計算し、主翼ボリュウム比から、安定がゼロとなる重心位置を求めています。
この計算で、UNA3_TB30の後方限界重心位置は主翼前縁から46.7mm(MAC:28.7%)となっています。
部屋のなかで重心を下げてグライドテストをして見ると、少なくとも主翼前縁から90mm(MAC:62%)までは、安定がありそうです。狭い部屋なので正確な後方限界位置まではテストできませんが、計算値よりかなり後方まで重心位置を下げても飛行出来そうです。
XFLR5
XFLR5は振り子安定も加味していることがわたっているので、振り子安定がない(上半角がない主翼)も比較しています。
最初の画像は「UNA3_TB30_FB4308Wing」:現在飛行しているUNA3_TB30の3D Viewです。
「UNA3_TB30_FLAT_FB4308WingOnly」
上半角がない主翼のみの3D Viewです。
「UNA3_TB30_FLAT_FB4308Wing」
上半角がない主翼でUNA3_TB30の3D Viewです。

結果
Cm.vs.AlphaのグラフでAlphaが変化してもCmが変化しない状態が安定中立、その重心位置が後方限界重心位置となるわけです。

まず、「UNA3_TB30_FLAT_FB4308WingOnly」の安定中立をみると、重心位置が前縁から40mm(MAC24%)と、完全流体での安定中立位置25%に近い計算結果になっています。
次に、「UNA3_TB30_FLAT_FB4308Wing」の安定中立をみると、重心位置が前縁から51mm(MAC32%)と、私の計算結果より3%あまり後方になっています。
最後に、「UNA3_TB30_FB4308Wing」の安定中立をみると、重心位置が前縁から58mm(MAC38%)と、後方限界重心位置が後ろになっているが、グライドテストよりはまだずいぶん前方になっていることがわかります。
実際の翼はEPP板翼ですが、XFLR5で使っている翼型は下面フラットの8%翼と違っています。
レイノルズ数が小さい場合とか、主翼と尾翼が近い場合の干渉とか、尾翼の低アスペクト比とか、何か原因があるのでしょが、現在は解らない状況です。
これは今後の宿題としておき、当面は「計算値よりも後方に中立位置がありそうだ」と頭の片隅において、飛行させていくつもりです。